かわず出ましたけど・・・

井の中の蛙が外に出てみて、感じること、想う事などつづってみたいと思ってます。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

僅かなとき1-6

 老女の奇異な行動を目撃した日から、時々自分の後を付けられているような感覚と、その裏づけになるものが、アパートの郵便受けに放り込まれていた事、それは、ワープロで書かれ、口止めの脅迫とも取れる内容が書かれていたことを、二人に話して聞かせた。

 郵便物ではなく、確実にそこが美緒の部屋である事を知った上で、何者かが直接投げ込んだものであった。

怖くて、一度捨てたのだが、マスターが持ってくるようにと言いつけたために、恐々皺を広げて、持ってきていたのだった。

 うすいペパーミントブルーの横長の封筒に濃いグリーンでプリントされた、「沖島美緒 様」という文字が、恐ろしく冷徹に、[お前の全てを知っている。]と言っているようだった。


中を開くと薄い、エアメール用の便箋にこれもまたワープロを使って、事項の挨拶があり、まるで以前からの知り合いのような文面が続いていた。


 ”沖島美緒 様


連日暑い日が続きますが、いかがお過ごしですか。
先日は、お仕事の休憩時間の折、ふと見上げると、美緒さんのお顔を
拝見いたしまして、お元気で居られるかと、心配になり、お手紙を
差し上げた次第です。


私の方は、寄る年波には勝てず、そこかしこが
痛んでまいりましたが、それでも尚、生きることへの執念は御しがたく、魂の命ずるままに、日々をすごしております。



 また近く、お会いできるものと存じますが、まずはご挨拶まで。

 
 時節柄、くれぐれもご自愛くださいますように。


                 在英、倫敦にて 鏡子”


 全く面識の無い人物に対する文面ではない、また近く会うとは、いかなる事か、くれぐれも自愛とは・・ロンドンって・・・美緒はまたブワッと全身に鳥肌か立つのを感じた。

 実は、一昨日にも、もう一通同じ様式の封筒が、投げ込まれていた。今日はこれをマスターたちと一緒に開封するべく、約束をして、バイトへと来たのであった。                     

 
  
スポンサーサイト

テーマ:連載小説 - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://blueorangekawazu.blog60.fc2.com/tb.php/22-5bd10f88
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。