かわず出ましたけど・・・

井の中の蛙が外に出てみて、感じること、想う事などつづってみたいと思ってます。

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僅かなとき1-2

 サウスエンドでは、スコティッシュアメリカンで大使館職員のクレイグとインテリア関連の仕事をしているという、リズがなにか話し込んでいた。彼女は香港出身のクォーターらしかった。
 静かにjazzの流れる店内は、シックなブリティッシュアンティーク調で統一されていて、モスグリーンの壁に品の良い水彩細密画がリズムよく配置されている。オークの腰板に沿うように置かれた手彫りのテーブルの魔力のせいか、いつもここだけ時間が止まっているように感じる。

 常連の客がほとんどで、まるでスコッチウイスキーのショットバーのような雰囲気を漂わせながら、なぜか紅茶ではなく、珈琲の専門店を営む初老のマスターがカウンターの向こうから静かに微笑んだ。


 美緒は、クレイグの席のほうへ静かに会釈をし、店の奥のPRIVATEと書かれたドアに向かった。しばらくして、髪を束ねエプロンをつけた美緒が、ドアから出てきた。
洒落たデザインのカフェ・エプロンである。マスターの妻の なほが刺繍をちりばめたもので、代々のアルバイトが、皆、記念に貰い受けるというのが、しきたりのようになっていると、少し自慢げに、恥ずかしそうに、アルバイト初日に、マスターが話していたなと、ぼんやりと考えながら、いつものウォーターサーバーの前に立った。

 「美緒ちゃん3時の約束だったのに、早かったね。なにか あったの?」と低いやさしげな独特の口調で美緒の顔を覗き込んだ。

 「ううん、違うんです。ご心配かけてすみません。昨日あんまり眠れなくて、予定が狂っちゃったから、ウインドウショッピングしてたんだけど、なんかまた、視線感じちゃって、もう近くまで来てたから 早いけどいいかなって・・・別に何もないんですけど。」

 「なら いいんだ。何でも相談するんだぞ。僕らは、美緒ちゃんの東京の親のつもりなんだからね。」
 そう言ってクレイグとリズのほうへとカウンターの中を移動し、英語で、フルーツケイクはどうだいと、2人に勧め、この店ご自慢の洋酒につけたさまざまな木の実やドライフルーツを練りこんだしっとりとした、ケーキをウェッジウッドの新作のケーキ皿にたっぷりのカスタードと生クリームを添えて、サーブし彼らの席まで運んで行った。

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