かわず出ましたけど・・・

井の中の蛙が外に出てみて、感じること、想う事などつづってみたいと思ってます。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

僅かなとき1-1

 さわやかな風が部屋の中を吹き抜けた。心地よい乾いた風が、美緒の肩から頬をなでた。遠くで街の動く音が聞こえる。
ラジオのスウィッチを入れて、ベッドから抜け出し、時計を見ると10時を少し過ぎていた。
昨日から眠れずに、閉じこもっていた為に明け方になって窓を開けて夜明けの空を眺めていたのだった。そうしているうちに、眠り込んだらしかった。
 だるい身体を無理やり引きずって、ブランチの準備を始めた。
昨日マスターにもらったダージリンのファーストフラッシュをリーフスプーンに2杯お気に入りのティーポットでゆっくりといれ、全粒パンをチーズトーストにして、ハムと野菜を挟んで味わいながら食べた。
 

 マスターとは午後3時の約束だったから、ゆっくりと仕度をして、早めに部屋を出、ウインドウショッピングをしながら表参道に向かうことにした。


 このところの恐怖心などはもう影を潜め、儘よどうにでもなれ!
という心境だったから、外を堂々と歩こうと決めたのだった。




 あれはちょうど、ひと月前くらいに、掛持ちのコンビニのアルバイトの休憩時間に、外で深呼吸をしようと、伸びをしたとき、ふと、高速の高架下に停まっているバンに乗り込もうとした、腰の曲がったお婆さんがすっと腰を伸ばして車に乗り込むのを見た。
 
 その瞬間、そのお婆さんの鋭い目と目が合った。
ぞくッとするほどの鋭い、精気に満ちた眼だった。


 その日を境に誰かに見られているような気がして、恐怖心が広がり、
何をするにもびくびくした日々を送った。このところ、美緒の住む近辺では、一人暮らしの女性が襲われ暴行を受け、金品を奪われる事件が頻発していた。
 とうとう恐怖に耐えかねた美緒は、2週間が経った頃、マスターに相談してみたのだった。

 美緒は自宅近くのコンビニと、もう一つのバイトを掛持ちしていた。
それは、表参道から少し入った閑静な住宅街にひっそりとしかし、存在感を堅持するかのようにある、珈琲ショップだった。
 門を開けて、両脇に手入れの行き届いた、ハーブやベリーなど美しい実のなるたくさんの種類の植物が客を迎える小道を進み、なだらかなスロープを下ったところにある、イギリスアンティークの重厚なドアを開けて、約束より早い2時半ごろサウスエンドに着いた。
スポンサーサイト

テーマ:☆オリジナル小説☆ - ジャンル:小説・文学

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://blueorangekawazu.blog60.fc2.com/tb.php/10-d0ddc271
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。